目次
競技ドリフトシーンの注目女子選手!
トラストのバックアップでリフレッシュを兼ねたチューニングを実施!
まだ高校生だった2021年、MSCチャレンジに初参戦。以降、FDJ2やD1GP地方選とステップアップを果たし、今年はFDJシリーズに挑む生粋のドリフト女子が“いっちぃ”こと、深田一希さん(21歳)だ。
父親は自身のショップ、ディフィールの代表を務め、2011年からD1GPやドリフトマッスルに参戦。今はFDJを戦う深田真弘(ただひろ)さん。言わば、ドリフト界の『サラブレッド』にして『プリンセス』でもあるいっちぃは、昨年からトラストレーシングのメンバーに加わりJZX100マークⅡで戦うが、街乗り用の一台も、これまたJZX100マークⅡだったりする。
「去年手に入れてから半年で、とりあえず理想とする最低限の形にはなりました」と言う。

ベースは後期型のAT改MT換装仕様。しばらく放置されていて汚れが蓄積していたボディは、入念な磨きによってひとまず輝きを取り戻した。
また、希少かつ人気が高いサンルーフ付きで、純正形状FRP製フロントリップ、父親の知人から譲ってもらった純正サイドステップ、ネットオークションで入手した純正リヤアンダースポイラーが外装の拘り。当時の仕様を再現するため、リム幅9JのBCNR33純正17インチホイールに前後215/45サイズのディレッツァDZ102を引っ張って履かせている。
さらに、ボディサイドとリヤバンパー周りのメッキモールは幅が合いそうな汎用品を買ってきて、いっちぃ自らがハサミでカット。両面テープで貼り付けた。端部をボディ側の形状にピタリ合わせたディテール処理まで含め、言われなければ純正にしか見えないDIYでの力作だ。

内装も同様で、運転席にブリッドジータⅢ、助手席には同ユーロスターⅡをセット。ステアリングホイールはナルディラリー330φに交換され、水中花シフトノブも装着される。ちなみに、エンジンはECUまで含めてフルノーマル。現状マフラー交換だけに留まる。
今回、深田親子が滋賀から自走でトラストを訪れたのは、経年劣化が確実視される箇所に対してチューニングを兼ねたリフレッシュ作業を行なうため。最終型でもすでに25年が経過しているJZX100は生産廃止になった純正新品パーツが多く、もしあったとしても高額でコスト的に合わないことが考えられる。となると、アフターパーツを投入して性能アップも図れれば一石二鳥だし、それがオーナーにとって現実的な選択肢だったりもするわけだ。

トラスト川島さんが言う。「今回ウチで揃えたのは、エアクリーナー、前置きインタークーラー、アルミラジエター、ラジエターホース、ステアリングホイールです。いっちぃから“色素を抑えたい”というリクエストがあったので、インタークーラーのパイピングホースはSPL品を用意しました」とのこと。

エンジンルームを眺めると、ラジエターの樹脂製アッパータンクが変色し、カシメ部分からクーラントが漏れた跡も確認。アウターフィンの一部には泥が詰まっている状態だった。
気を取り直し、クルマをリフトで上げて作業開始…しようとしたら、今度はオイルパンからサブフレーム、サスペンションアームに至るまで、フロント下周りが結構な勢いでオイルまみれになっている状況も明らかに…。原因は、JZ系エンジンで数少ない弱点の一つとされるクランクシールの劣化だろうか。そこで、まずはホワイトガソリンで油分をキレイさっぱり落としてからパーツ交換作業がスタートした。

担当は佐藤メカと、かつてインタークーラーキットの開発に携わっていた川島さんの熟練コンビ。さすが二人の息はぴったりで、エンジンルーム内とフロント周りのパーツが次々と手際良く外されていく。もちろん、作業は真剣。それでも、その場にいるメンバーと会話しながら、ワイワイとクルマをイジっているような雰囲気が楽しい。

GReddyインタークーラーキットLS。パイピングとコアを繋ぎ、各部クリアランスや干渉部分、全体のレイアウトを確認する。川島さんが左手に持つのがSPLなインタークーラーホース。カラーが黒で、通常2プライに対して3プライとされる。

フロントバンパーをあてがい、コアやパイピングと干渉してしまう裏側のどの部分を、どれくらい削ればいいかを検討する。最終的な仕上がりや見た目を大きく左右するポイントだけど、佐藤メカや川島さんにとってはお手の物。

純正ラジエターから外した小型電動ファン付きシュラウドをGReddyアルミラジエターTW-Rに移植。カップリングファンやファンベルト、インタークーラーパイピングなどに気を付けながらエンジンルーム前端にゆっくりと滑り込ませていく。

コア形状に合わせたフロントリーンホースの加工やパイピング干渉部のカットなどが必要だけど、前置きインタークーラー化に伴うフロント周りの全体像が見えてきた。大半はバンパーで隠れてしまうけど、やっぱり迫力が違う!

コア前面にステンシルを置いて周囲をマスキングし、黒いスプレーを吹いて“GReddy”ロゴを入れる川島さん。これは、いっちぃからのリクエストだ。川島さんいわく、「樹脂製ステンシルは商品として販売してますよ」とのこと。

ヘタってボンネットを支持できなくなっていたダンパーを、こっそり(!?)持参してきた新品に交換。左右とも新品にしたことで開けたボンネットが下がってこなくなった。

ステアリング周りの作業。GReddyラフィックスⅡとスポーツステアリングホイール80mmディープタイプを装着する。グリップ部がバックスキン仕様で、トラストカラーのセンターマーカーと青いステッチがアクセントだ。

こうして完成までに要した時間は一日半。細部まで隙なく作り込まれたその様は、妥協を許さないトラストワークスならではの仕上がりだ。今シーズンのFDJで活躍が期待されるのはもちろん、街乗り用マークⅡに今後どんなチューニングが施されていくのか。どちらにしろ、いっちぃの動向から目が離せそうにない!
⚫︎取材協力:昭和トラスト TEL:0479-77-3000/Deefiel(ディフィール)
【関連リンク】
昭和トラスト
https://www.trust-power.com
Deefiel(ディフィール)
https://deefiel.com