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■スポーティな上級志向のタントカスタム
2005(平成17)年6月30日、ダイハツはスポーティかつ高級感ある仕様の「タントカスタム」を発売した。タントカスタムは、人気のスーパーハイトワゴンのタントに専用のフロントグリルやエアロパーツを装備し、内装についてもブラック基調の高級感ある仕様に仕立てられた個性豊かなモデルである。

元祖スーパーハイトワゴンのタント誕生
ダイハツは、スズキのハイトワゴン「ワゴンR」に対抗して、1995年に「ムーヴ」を発売。そして2003年11月には、独自のパッケージングでさらに車高を高め、クラス最大級の室内スペースを実現したスーパーハイトワゴン「タント」を市場に投入した。

ボディサイズは、全高がムーヴより95mm高い全長3395mm×全幅1475mm×全高1725mm、またホイールベースは軽最大の2440mmにしてフラットで圧倒的な室内スペースを達成。ボディ骨格には、進化版衝突安全ボディ“TAF”を採用し、左右分割でロングスライドできるリクライニングの格納機構付きリアシート、大きな開口部のリアゲートなどで利便性が高められた。
スタイリングは、エンジンフードを極端に短縮した角を丸めたボクシーなフォルムで、直角に近いAピラーと大きなウインドウガラスが特徴だった。エンジンは、最高出力58psの660cc直3 DOHCと64psの同インタークーラーターボエンジン。トランスミッションは2WD(FF)に4速AT、4WDには3速ATまたは4速ATが組み合わされた。
タントは、圧倒的に広い室内スペースと使いやすさが子育てユーザーの支持を集め、発売1ヶ月で1万台を超える受注を記録し、その後も月販台数で8000台をキープする大ヒットモデルとなった。
その後、他メーカーからもスーパーハイトワゴンが続々と投入され、スーパーハイトワゴンブームは令和の現在も続き、軽の主流となっている。
スポーティな上級志向のカスタム設定
タントカスタムは、タントのスポーティな上級志向のカスタムモデルとして、2005年6月のこの日に登場した。

外観は、専用フロントフェイスに専用ディスチャージヘッドランプ、専用エアロパーツ、クリアクリスタルのリアコンビランプと大型バックドアガーニッシュなどでドレスアップ。インテリアについては、ブラック基調をベースにタコメーター付の専用メーター、スエード調ファブリックシートなどで上級な仕様に仕立てられた。
パワートレインは、タントと同じ660cc直3 DOHCと同インタークーラーターボエンジンと4速AT(FF)および3速/4速AT(4WD)の組み合わせ。
タントカスタムには、ベーシック「カスタムL」、上級「カスタムX」、最上級「カスタムRS」の3グレードが設定された。カスタムLは、カスタムXよりも一部装備を簡略化し価格を抑えたグレードで、アルミホイールが未装着でホイールキャップを採用、エアコンがマニュアル式となる。カスタムXは、14インチアルミホイールを標準装備、インテリアはLとほぼ同じだが、照明付きバニティミラー、フルオートエアコン&4スピーカーシステムを装備。カスタムRSは、カスタムXにターボエンジンを搭載した最上級グレードである。
車両価格は、2WD仕様でカスタムLが122.85万円、カスタムXが131.25万円、カスタムRSが153.3万円に設定された。ちなみに、ノーマルのLグレードが105万円なので、カスタムは約18万円高額である。

カスタム仕様が人気の軽自動車
現在、日本でもっとも売れている軽自動車は、スーパーハイトワゴンのホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」の3強だが、この3車種はともにカスタム仕様を設定している。

軽自動車におけるノーマルとカスタムの違いは、ノーマルがファミリー志向の親しみやすさを持たせるデザインであるのに対して、カスタムではメッキやエアロパーツを使用して、スポーティで高級感を際立たせている点である。またカスタムは、最近軽だけでなく全般的に流行っている“オラオラ顔”と言われる威圧的なフロントファイスが特徴である。
初代の今回紹介したタントカスタムは、まだオラオラ顔ではないが、最新のタントカスタムは立派なオラオラ顔になっている。
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2022年のタントシリーズにおけるカスタムの販売比率は55%を占めている。タントは、子育てから子離れたシニア女性が中心で、タントカスタムのユーザーは若年層を含めた幅広い年代の男性となっている。今や若い男性からも軽は人気があり、ファミリー志向の軽では物足りないからカスタムを選ぶのだ。
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